サトセリの『ケセラセラ英会話』のススメ【第4回】

サトセリの『ケセラセラ英会話』のススメ【第4回】 英会話コラム

ネイティブの日常会話をサクッと学ぼう!
ソープ・オペラのススメ

英語圏で暮らすようになってから、気づいたことがあります。

それは、日本にいた時に習った英会話と、現地の人が使っている “生きた英語” には、ギャップがあるということ。

例えば、「調子どう?」というあいさつ言葉は “How are you?” と習いますが、イギリスではほとんど聞くことがありません。ネイティブは、“Are you OK?” の方をよく使っています。

ネイティブが使っている “生きた英語” を学ぶ方法はいくつかありますが、おススメは現地のテレビ番組を観ること。中でもソープ・オペラ(soup opera)は、日常的な英会話を学びたいという人にぴったりです。

ということで、今回はソープ・オペラについてご紹介します!

 

ソープ・オペラとは?

ソープ・オペラとは、主に日常生活を題材とした連続ドラマのこと。ラジオで放送されたのが始まりで、現在ではラジオまたはテレビで放送されている連続ドラマのことを指します。

なぜ、連続ドラマのことをソープ・オペラと呼ぶのか気になりますよね。

ネットで調べてみると、ラジオで放送された連続ドラマの当時のスポンサーが、せっけん(soap)メーカーだったことが由来だそうです。「連続ドラマのスポンサーといえばせっけんメーカー」だったのでしょうか。興味深いですね。

ソープ・オペラを初めて観た時、カルチャーショックを受けました。なぜなら、実写による長寿ドラマだったから。私にとっては、「『サザエさん』を毎回実写でやっている」というのと同じくらい衝撃的でした。もちろんキャストは入れ替わりますが、同じ番組を実写で何十年もやっているということにびっくりです。

イギリスでは、ソープ・オペラは幅広い年齢層に愛されている国民的テレビ番組に位置づけられています。日常生活で起きそうなことをテーマにしていること、また、出演している俳優さんたちの外見が(いい意味で)セレブっぽくなく、ごく普通の人に近いことが幅広い年齢層に支持されている理由なのかもしれません。

 

英会話を学ぶのにソープ・オペラをおすすめする3つの理由

イギリス国民に愛されているソープ・オペラですが、外国人にとっては英語を学ぶのにぴったりなんです! その理由を3つご紹介しますね。

理由①:イギリス人が使っている日常会話を知ることができる

ソープ・オペラが描く世界は、イギリス人の日常生活。やや脚色している部分もありますが、セリフはネイティブが使っている英語そのもの。「へえ、こんな言い回しがあったのか!」と、宝探しのような楽しみがあります。

理由②:普段の生活に取り入れやすいフレーズを学べる

ソープ・オペラはどちらかというと、労働階級~中流階級にスポットを当てた作品が多く、「普通の人が送っている生活」で使われている会話がポンポン飛び出します。つまり、普段の生活に取り入れやすいフレーズの宝庫なのです。

理由③:イギリス人の考え方や笑いのツボがわかる

シリアスな内容のものもありますが、ソープ・オペラは日常生活をややドタバタ気味に描いていて、くすっと笑える作品が多いです。イギリス人がどのようなことで笑うのかがよくわかりますよ。イギリス人のユーモアが分かると、ユーモアで返すことができて会話がより楽しくなります。

 

イギリスで愛されているソープ・オペラ4選

数あるソープ・オペラの中でも、特にイギリス人に愛されている作品をご紹介しますね。

① コロネーション・ストリート(Coronation Street)

イギリスのソープ・オペラの中で最も長く続いている実写ドラマです。オンエアされたのはなんと1960年! 2020年2月7日で、通算10,000話を迎えました。

舞台はグレートマンチェスターにあるウェザーフィールド(Weatherfield)という架空の町。そこに暮らす人たちの人間模様を描いています。国民的人気番組ですが、サザエさんのようにほのぼのとした雰囲気一色というわけではありません。ドロドロの恋愛劇や家族のいがみ合いなど、ドラマティックなストーリーも盛り込まれています。

② イースト・エンダーズ(EastEnders)

1985年に放送がスタートし、コロネーション・ストリートと人気を二分しているといわれているソープ・オペラ。

こちらはロンドンのイーストエンドにあるウォルフォード(Walford)という架空の町に住む人々の生活を描いています。基本的な内容はコロネーション・ストリートとそれほど変わらないのですが、私はイースト・エンダーズ派でした(好きな俳優さんが多かったからかもしれませんが)。義母から「イギリス人よりも熱心に観ているね」と言われた時期もあったほどです(苦笑)。

③ オンリー・フールズ・アンド・ホーセズ(Only Fools and Horses)

イギリスを代表するソープ・オペラとして必ず名前の挙がる作品です。放送期間は1981~2003年までとすでに終わってしまったのですが、今なお多くのイギリス国民から支持されています。

大金持ちを夢見てうさん臭い仕事に手を出しては失敗する兄弟のドタバタを描いたこの作品には、話の随所に笑いがちりばめられています。私はこの作品から、イギリス人の笑いのツボやユーモアなどを学びました。

④ ザ・ロイル・ファミリー(The Royle Family)

こちらもすでに放送が終了しましたが、“Gold TV Channel”で再放送されているなど根強い人気を誇るソープ・オペラです。

この番組のすごいところは、初めから終わりまで何気ない日常会話で引っ張るところ。自分専用のソファに座り、1日中テレビを観るのが好きで、文句ばかり言うぐうたらキャラのお父さんと、奥さんや娘夫婦、近所の人たちとのやり取りというのが基本の設定です。日常のワンシーンを観ているだけなのに、ものすごく面白くて飽きません!

日常会話がポンポン出てくるので生きた会話を学ぶには向いていますが、口の悪いお父さんのセリフは真似しないほうがいいでしょう。

 

ソープ・オペラは、動作だけでも楽しめる!

「英語がよくわからないのに、英語のテレビ番組はハードルが高いかも」と思うかもしれませんね。
でも大丈夫です! ソープ・オペラは、動作だけでもなんとなく「こう言っているんだろうな」というふうに、予想しやすいですよ。

例えば、こちらの動画。

オンリー・フールズ・アンド・ホーセズのエピソードの一部ですが、セリフがよく理解できなくても、行動からなんとなく言わんとしていることが分かりますよね? 悪者に絡まれる→笑える方法で逃げ切るというオチもベタですし(笑)。

 

“生きた英語”を学ぶなら、ソープ・オペラが一番!

英会話を学ぶ方法の一つとして、ソープ・オペラをご紹介しました。

イギリスに暮らしている普通の人をテーマにしたソープ・オペラは、イギリス文化を学べると同時に、普通のイギリス人がどのような会話をしているのか知るのにぴったりです。

最初は何を言っているのか聞き取ることが難しいかもしれませんが、動作から展開を予想したり、耳に飛び込んできたセリフの意味を調べたりするうちに、より楽しめるようになりますよ。イギリス人が普段話しているフレーズをたくさん覚えて、英会話を楽しんでくださいね。

それではまた次回、お会いしましょう!

 

この記事の執筆者
佐藤世莉(サトセリ)
佐藤世莉(サトセリ)
2018年に活動を開始した英国在住のフリーライター。大学では社会学と国際政治学を専攻。大学院で国際関係学を専攻し、Master of Arts取得。現在、4人の子供を育てる傍ら、日本の大手メディアでの執筆や出版等を行う。
執筆例
2020年7月 イギリスアニメ『ペッパピッグ』の人気の秘密を大解析
2020年10月 Webメディア「融資の窓口」さまにて記事作成を担当
2022年9月 『時短Webライティング術』出版
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